野生の草木の花
柏市に咲く花 - 夏・秋 -
関東地方は、6月から雨の季節が始まる。雨の季節と夏から秋にかけて、春とは種類の異なる野草の花が野原や湿地に咲いている。地球温暖化の影響か、猛暑の期間はは2~3週間長期化していて耕作地の水田の稲の刈り取り時期も早まっている。そんな環境の変化にもめげず、柏市郊外に可憐に咲いている野生植物の花を紹介する。
(この投稿では6月、7月、8月を夏、9月、10月、11月を秋の期間とした)
出穂が間近い夏の水田 |
夏の代表的な花ムクゲ |
注: 草木の名前は、カタカナ、ローマ字、英語名又は学術名の順で表記してあります
* Plant's name is described in order of Japanese name (Kana), description of Roman alphabet, and English name
(or Scientific name).
カントウヨメナ, Kantoyomena, Kalimeris Pseudoyomena
カントウヨメナは湿った道端や野原に生育する。関東以北に分布する。8月頃2.5cmほどの白または薄紫色の花を枝先につける。
ヒメジョオンは北アメリカから観賞用として移入された。草丈は60cm以上になり、5月から秋にかけて花を咲かせる。ハルジオンと似ているが花が咲く時期や花の大きさ、草丈などが異なる。ジオンとジョオンと紛らわしいが、ジョオンは野草の意味なので、厳密にヒメジョオンとしなければならないという。野草の名前は酷いものが多いが、ここではこんなに注意深く名前を呼ぶようになっている。
ミゾソバは湿地に群生する。8月頃白または淡紅色の4mmほどの小さな花の集合を花茎の先につける。
ママコノシリヌグイは湿った道路脇などに生育する。花は4mmほどで枝先に集まって咲く。名前に似ず可愛らしい花である。
ゲンノショウコは日当たりの良い野原や道端に生育する。15mmほどの花は白色で薄紫の条とおしべが印象に残る可憐な花だ。日本では有名な薬草である。
ウシハコベは道端や野原などに生える。草丈は50cm以上となりハコベの仲間では大型である。春から白い10mmくらいの花をつけるが夏の方が多くの花をつけるようだ。
センニンソウは日当たりの良い道端や野原に生える。蔓性の多年草。2cmほどの白色の花を8月頃咲かせる。
エビヅルは蔓性の落葉木本である。エビヅルは他の樹木に絡みつき、枝を伸ばすことが普通だが、野原では匍匐して枝を伸ばす。6月頃房状の黄緑色の花をつける。
マメアサガオは北アメリカから移入された。蔓性で1.5cmほどの白い花を6月ごろから咲かせる。
ホシアサガオはラテンアメリカから移入された蔓性の一年草。1.5cmほどの赤紫色の花を7月頃から咲かせる。 柏市郊外で自生のホシアサガオを見つけるのは珍しいことだ。
ワルナスビは北アメリカから移入された。花は白や薄い青色をしており、その姿はナスやジャガイモの花に似ている。この草はソラニンを含む有毒植物である。
イヌホオズキは畑や道端などに群生する。白や薄青色の花を7月頃から咲かせる。この草もソラニンを含む有毒植物である。
タカサブロウは水辺など湿った場所に生える。1cmほどの白い花を7月頃から咲かせる。外来種のアメリカタカサブロウとの見た目の違いは葉の幅でタカサブロウの方が広い。
イボクサは湿地に生える。柏市郊外では水田に生育していた。1.2cmの薄紫色の花を8月頃から咲かせる。 花は透き通った感じで可愛らしい。
シロバナサクラタデは湿地に生える。白い小さな花を花茎にまばらにつける。花は8月頃から咲き始める。
アカネは半日陰の土手の斜面や林縁に生える蔓性の植物。8月頃から小さな白い花を茎の先端に咲かせる。根は染料や薬として利用される。
ヌマトラノオは湿地に生える。草丈は50cmくらいで7月頃に総状に白い花を多数つける。
イヌヌマトラノオは湿地に生える。ヌマトラノオとオカトラノオの交雑種。7月ごろ白い花を多数花茎の先につける。この花の穂は先端が少し曲がっていることが特徴。
クララは日当たりの良い草原に生える。柏市郊外では堤防の斜面に何株か生育していた。マメ科の多年草。6月頃房状に白い花を多数つける。アルカロイドを含む有毒植物。この植物だけを食べるオオルリシジミの幼虫はすごいと思う。薬などに利用される。
エゴマは古くから栽培されてきた。柏市郊外では限られた区域の道端に野生化したエゴマが群生している。種や葉などを食材に利用している。
アレチウリは北アメリカから移入された。今では侵略的外来種に指定されて駆除の対象になっている。8月から6mmくらいの白い花を咲かせる。花蜜が花の真ん中に溢れるようについているので、蜂や他の昆虫類には有難い植物である。河川敷に繁茂することが多く、繁殖力が強いため柏市郊外では河岸に沿って生息地を拡大している。
ハンゲショウは水辺や湿地に群生する。6月頃総状に白い花をつける。この頃花序の周りの葉も白く変化する。
オモダカは水田などに生える。7月頃から1.5cmほどの白い花を咲かせる。稲作に害を及ぼす植物であるが、水田の緑一色の中で白く輝く花には清涼感を覚える。
セリは湿地や水田などに生育する。8月ごろ花茎の先に放射状に花序をつけて白い小さな花を咲かせる。春の七草として知られるが、東北地方では秋の刈り取り後の水田で栽培され鍋物の食材などに利用される。
ニラは畑地で栽培されているが、野生化し草地や道端に生育している。8月頃から花茎の先に球状の花序をつけ咲き始める。食材や薬として利用される。
ヤブミョウガは湿気の多い道端や林縁に生える。8月ごろ花茎の先端に白い小さな花を多数つける。
ホザキナナカマドは日当たりの良い林の中に生える。樹高が2mくらいの落葉低木である。7月頃円錐形状の花序ができ咲き始める。一つ一つの小さな白い花は陽の光を浴びて輝いている。
オオモナミは北アメリカから移入された。特に役に立つ植物でもないので偶然に船について入ってきたものであろう。花は目立たなく花らしくもない。種がひっつき虫の代表格として知っている人も多い。
コウゾリナは日当たりの良い草地に生える。5月の終わり頃から2cmほどの黄色い花を咲かせる。
カタバミは日当たりの良い道端や草地などに生える。茎が伸びて株を増やすことや種でも増えるため、庭などにはびこると除草が大変である。花期も長く春から秋まで次々と10mmくらいの黄色い花を咲かせる。
スベリヒユは道端や畑地などに生える。6月頃から6mmほどの黄色い花をつける。
畑などに侵入すると厄介な害草となる。薬や食材として利用する地域があるそうだが、畑作を行なっている地域ではすぐに駆除されるだろう。
イチビはインドから移入された。繊維植物の利用を目的に移入されたようだが、今では指定外来種になっている。花は2cmほどで黄色、可愛らしいが草全体に異臭があるようだ。
アメリカキンゴジカは南アメリカから移入された。畦道などに生える。8mmほどの薄黄色の花を8月頃つける。
クサネムは水田などに生える一年草。草丈は1m以上にもなる。7月頃から薄黄色の花を咲かせる。
アキノノゲシは日当たりの良い畦道などに生える。8月頃2cmほどの薄い黄色の花を咲かせる。
アイノコセンダングサは道端などに生える。9月頃に1cmほどの花を花茎の先端につける。
ナタネビラコはヨーロッパから移入された。1cmほどの黄色い花を9月頃咲かせる。
チョウジタデは湿地や水田などに生える。8月頃8mmほどの黄色い花を咲かせる。
アキカラマツは日当たりの良い土手の斜面などに生育する。9月頃花茎の先に多数の淡黄色の花を咲かせる。薬などに利用されるが有毒植物である。
イヌキクイモは北アメリカから移入された。道端などに生える。草丈は1.5m以上になり、8月頃6cmほどの黄色い花を咲かせる。草丈が高く黄色い花がよく目立つ草である。
マツヨイグサは南アメリカから移入された。道端や草地に生える。6月頃3cmほどの黄色い花を咲かせ始める。
ノカンゾウは日当たりの良い湿った道端などに生える。7月頃から7cmほどの橙色の花を咲かせる。若葉を食材に利用する。
ヤブカンゾウは日当たりの良い土手の斜面などに群生する。6月頃から8cmほどの橙赤色の花を咲かせる。八重咲きであることが特徴。
タカサゴユリは台湾から観賞用として移入された。他の野生のユリよりも繁殖力や環境への適応力が高く、都市近郊でも道端などに自生している。草丈は1.5mほどにまで成長し8月頃直径5cmくらいの白い花を咲かせる。
キクニガナはヨーロッパから移入された。日当たりの良い草地に生える多年草。1.5mほどの草丈があり、6月頃から薄紫色の3cmくらいの花をつける。食材として利用される。
ツユクサは畑地や道端に群生する。1.5cmほどの青い花を6月頃から咲かせる。この花の開花時間は短く、朝に咲き始め午後には萎んでしまう。薬や染め物の工程の中で染料として利用される。
ツユクサは道端や田んぼの畦道などに群生する。6月から花を咲かせる。シロバナツユクサは透き通るような白色をしていて綺麗なので、特に青色のツユクサと区別してとりあげた。
クマツヅラは道端などに生える。6月頃から淡紫色の小さな花を咲かせる。薬として利用されている。
イヌトウバナは木陰の道端などに生育する。8月頃花茎の先端の周りに薄紫色の花をつける。
ツルボは日当たりの良い堤防の斜面や草地などに生育する。8月頃総状の薄紫色の花を密集して咲かせる。
ネジバナは日当たりの良い草地に生える。6月頃薄紅色の小さな花を花茎の周りに螺旋状に咲かせる。ランの仲間である。
ウツボグサは日当たりの良い草地などに群生する。7月頃花茎の先に紫色の花を咲かせる。食材や薬として利用される。
ガガイモは日当たりの良い道端や草地に生える蔓性の多年草。8月頃、淡紫色の小さな花を咲かせる。花びらの内側には細かい毛が密集している。薬に利用される。
イヌハッカはヨーロッパから移入された。8月頃花茎の先端に薄紅色の小さな花を多数咲かせる。ハッカの香りがするため食材や薬として利用される。
アキノタムラソウは明るい草地などに生える。8月頃から茎の先端に薄紫色の小さな花をたくさんつける。
ハゼランは南アメリカから観賞用として移入された。紅色の花は6mmほど、小さい上に開花時間が3時間くらいしかなく道路端に咲いていても気付きにくい。ランという名前がつけられているがランの仲間ではない。
オオバクサフジは日当たりの良い草地などに生える。8月頃紫色の花を咲かせる。
アレチヌスビトハギは北アメリカから移入された。日当たりの良い道端などに生える。8月頃に薄紅色の花を多数つける。この植物のような名前を知ると、なぜこんな意味のない酷い名前をつけたのだろうという気持ちを持ってしまう。
ミソハギは湿地や田んぼの畦道などに生える。8月頃淡紅色の小さな花を輪状に花茎の先につける。
コムラサキは樹高1.5mくらいの落葉低木である。林縁や草地などに生える。7月頃淡紅色の小さな花を枝の節などにつける。
カラスウリは藪の中に生え草木に絡みついて成長する蔓性の植物。7月頃白い綿毛に包まれた花をつける。夕方頃から開花する。夜行性のスズメガなどが受粉を助けるらしいが、暗闇の中でこの花が見えるのか不思議である。
ヤブガラシは道端、林縁や荒地などどこにでも生える蔓性の植物。7月頃から小さな集散花序をつけ橙色の花を咲かせる。花はお椀状になっており小さいながら蜜をたっぷりと蓄えている。
クズは林の中などに生える蔓性の多年草。8月頃から葉の脇から花茎を伸ばし総状の暗紫色の花をつける。芳香がある。食材や薬に利用される。日本では和菓子の材料などに用いられるが、緑化の目的で持ち込んだ諸外国では今や侵略的外来種となっている。
イヌタデは日当たりの良い道端や草地などに生える。6月頃から茎の先端に赤紫色の小さな花を多数つける。
キツネノマゴは道端などに生える。8月頃茎の先端に小さな薄紫色の花をつける。可愛らしい花だが小さすぎて目立たない。
ツルマメは日当たりの良い野原や道端に生える蔓性の一年草。7月頃薄紫色の小さな花を葉の脇につける。
ヤブマメは林縁や草地に生える蔓性の一年草。8月頃先端が淡紫色の花をつける。花は開かない状態のものが多い。
ツリガネニンジンは日当たりの良い草地などに生える。柏市郊外では堤防の斜面に群生している。8月頃から淡紫色の鐘型の花をつける。食材や薬として利用される。
ミズヒキは日当たりの良い道端や林縁などに生える。葉の脇から花穂を出し赤い小さな花を多数つける。花は小さく茎が細いため目立たない。
ツリフネソウは水辺や田んぼの畦道など湿った場所に生える。9月頃、3cmほどの赤紫色の花をつける。花は茎の先端に吊り下がるように咲き、触れるだけで落ちそうに見える。この花の英語名は花のつき方の特徴に良く合っていると思う。
クコは日当たりの良い林縁や野原などに生える。9月頃から紫色の花をつける。実は食用として葉は薬に利用される。
コマツナギは日当たりの良い野原や道端に生える。8月頃から薄紫色の✳︎総状花序をつける。
ヒガンバナは土手や畦道などに群生する。9月の彼岸の頃、赤や白の花を咲かせる。鱗茎にアルカロイドを含む有毒植物である。
キツネノカミソリは明るい林の中に生育する。8月頃に朱色の花を咲かせる。有毒植物である。
ワレモコウは日当たりの良い草原などに生える。柏市郊外では土手の斜面の一区画に群生している。9月頃から枝先に穂状の花をつけるが花弁がないため花らしくない。薬などに利用される。
総状花序 [Raceme] :花茎の主軸が長く伸び、柄のついた花が間隔を開けて付いているもの
穂状花序 [Spike]:花茎の主軸が長く伸び、柄のない花が並んでいるもの
円錐花序 [Panicle]:総状花序の花に当たるところに総状花序がつくもの
散房花序 [Cluster]:花茎の主軸が短く長い柄を持った花が間を詰めてつくもの
散形花序 [Umbel]:花茎の主軸が極めて短くほとんどなくなっているもので、
花は同じところから出ているように見える。
頭状花序 [Head]:花茎の主軸の先端が平らになって花がそこに密生するもの。
All Rights Reserved, Y. Krish Hiwatari
References;
[1] Wikipedia
[2] Observation reference-book of wild flowers
野の花·山の花 観察図鑑; Publisher 「主婦の友社」
[3] Wild plants in all seasons ( 四季の山野草; http://www.ootk.net/shiki/ )