5/01/2022

柏市の野鳥

野生生物

野鳥

柏市の野鳥

柏市郊外では四季を通じて、60種類以上の野鳥を見ることができる。特に利根川河畔近くの広大な耕作地帯(洪水時の遊水池)では、稲や小麦などの穀物が栽培され、魚や小動物が多く生息していて、また鳥の活動に必要な十分な空間が広がる環境があって鳥の種類が豊富である。柏市郊外で見られる鳥は渡りをする鳥類も含まれており、常に同じ時期に同じ種類を観察できるわけではないが、タカ、フクロウの猛禽類、水辺の鳥、野原の鳥や森林の鳥などを季節ごとに見つける事ができる。




柏市北部郊外

柏市は千葉県の北西部にあり茨城県との県境に接している。地図に示したのは柏市の北部地域で利根川とその周辺の耕作地帯の位置を示している。この地域で鳥の観察を行った。多くの時間を費やして観察を行ったわけではなく、2時間ほどの散歩の際に行う程度のものである。

この地図上の右上にある耕作地と利根川の両岸を合わせた幅は最大で約6kmくらいあり住宅地との緩衝地帯となっている。




自然環境

柏市北部は近年鉄道交通が便利となり、都心まで約30分で行けるようになった。そのためマンションや家屋が多く建てられ、人口も増加している。居住地が広がってくると自然環境が圧迫されるのが常だが、ここには茨城県との境に利根川が流れており、ここが人間の生活圏と分離する田園地帯となっている。また50年ほど前からの既に宅地化された土地には樹齢の古い樹木が育ち鳥たちの住処にもなっている。

[写真1]は利根川堤防に沿って耕作された水田の風景。下流東南方向の風景を写している。

[写真2]は利根川第一堤防の外側に造られた小麦畑(植え付け前)で北西側の上流に向かって写している。利根川の第一堤防と第二堤防の間の耕作地は増水時の調整池にもなっている。

[写真3]は耕作地と居住地の境界に構築された第二堤防の上に200mほど続く林である。ここも鳥たちの繁殖に利用されている。

耕作地では穀物や雑草の種、そして水田、水路では魚や水性昆虫、林には昆虫の幼虫や樹木の実が多いことから、動物では鳥類の他、タヌキ、イタチ、野ウサギ、ネズミ、ヘビやカエルが多く生息する。耕作地の広い空間と点在する林、そこにある豊富な餌によって猛禽類は数種類生息している。ここでは2015年頃から数年間ノスリの営巣を観察することができたし、写真3の林から数百メートル離れた林ではサシバの営巣を観察できた。生息域が少しくらい重なっていても営巣できるのは、獲る餌の種類が異なりまた豊富な為、競合しないからと考えられる。


写真1 利根川下流方向の景色

写真2 利根川上流方向の景色

写真3 第二堤防沿いの林


  • ✴️ : 鳥の名前は、カタカナ、ローマ字、英語名又は学術名の順で表記してあります

猛禽類

猛禽類は、ワシ、タカ、フクロウの鳥類の総称である。[1] 猛禽類は自然界の食物連鎖の頂点に立つと言われ、狩をするためにその飛行力、聴覚や視覚において優れた能力を持つ。被写体として追いかけ見つける時には既に相手はこちらを認識し警戒している。彼らの生態には広い空間、住処の林と、餌となる生物の多様性が必要であり、それが損なわれる時希少動物となり絶滅の危機が訪れることになる。猛禽類はレッドリストで絶滅危惧種に指定されることが多いが、彼らの生育環境が壊されることによって危機が引き起こされると思われる。

日本では野生生物の捕獲や飼育が禁止されているが、このような状況でもペットショップなどで海外から猛禽類を持ち込み商売をしているケースが数多くある。絶滅危惧種が増えている現在、野生生物を保護するという基本姿勢(野生は野生のままで、生態系の環境を壊さない)をもう一度思い起こしてみたい。


ノスリ, Nosuri, Eastern Buzzard

ノスリは繁殖地では留鳥である。ここ柏市でノスリは繁殖しているので1年中大空を舞う姿を見ることができる。ノスリは利根川沿いの広い耕作地帯で見かけることが多い。広い空間とネズミや爬虫類などの餌が豊富にある所だ。全長は約60cmで翼を広げると120cm位ある。比較的幅広い翼で地上50m位を大きく旋回して獲物を探している。危険を感じると素速く高く上昇し100m以上の上空を旋回する。上昇気流をうまく捕まえる能力がありそうだ。


滑空飛行




チョウゲンボウ, Chogenbo, Common Kestrel

チョウゲンボウは全長35cm、翼長70cmほどの小型のハヤブサ科の猛禽類で、飛ぶ鳥を狩るなど高い狩猟能力を持っている。ハヤブサ科でありながらそれほど速い飛行能力はないが滑空飛行だけではなく、空中停止飛行して獲物を見つけ出す能力も持っている。関東地方ではチョウゲンボウは留鳥である。利根川沿いの耕作地周辺で多く見かけるが、近くの住宅地の上空にも度々現れる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concernである。


空中停止飛行
羽ばたき飛行

オオタカ, Ootaka, Northern Goshawk

オオタカは1984年の調査で個体数が約400羽となり、1993年、希少野生動植物種に指定され保護されてきたが、2017年解除された。生息数が回復したためであるとしている。しかし今でもオオタカを見つけることはノスリやチョウゲンボウを見つけることよりはるかに難しい。生息数が回復したと言っても個体数が少ないからだ。それと他の猛禽類に比べて警戒心が強いし、飛行速度が速いこともあって目撃することが少ない。全長は約50cm、翼長は約120cmである。腹側の羽毛が美しく白に黒の横縞が入っている。また眼光は鋭く目の虹彩は赤みがかった黄色で、遠くまで見通せる能力を窺わせる。関東地方ではオオタカは留鳥。IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concernである。



ハヤブサ, Hayabusa, Peregrine Falcon ( Falco peregrinus japonensis )

ハヤブサ科の代表的な鳥。飛行速度は100kmでありその高速性で知られる。全長は約45cm、翼長は110cmほどである。

1993年に希少野生動植物種に指定されている。環境省レッドリストでは絶滅危類に指定されている。ここ利根川沿いの耕作地ではオオタカより見つけることが難しい。こちらが見つけたときにはハヤブサは既に人影を認知しており、遥か彼方へ飛び去ってしまう。ハヤブサは危険を察知するとノスリと異なり水平方向に飛び去ることが多い。飛行する姿は美しい。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concernであるが、目撃した回数から推量するともう少し絶滅危惧の危険度が高いのではないかと思われる。



サシバ, Sashiba, Grey-faced Buzzard

サシバは渡り鳥である。東南アジアから渡ってきて、関東には4月ごろ姿を見せ繁殖の準備をする。全長は約50cmで翼長は100cmほどの大きさ。精悍な顔つきにもかかわらず主にカエルを餌とする。利根川沿いの水田地帯には春から夏にかけて餌の両生類が豊富にいる。

猛禽類は視力が優れていると言われるが、50m以上の高さの上空から10cm足らずの小動物を見つける能力には目をみはるものがある。

サシバは環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定されているが、ここ数年この耕作地周辺で営巣していて、上空を飛行しているのをよく見かける。渡鳥は繁殖地だけでなく越冬地の個体数も合わせた全体でその保全性を見ていかなくてはならないのだろう。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concernである



ハイタカ, Haitaka, Sparrow Hawk

ハイタカは、全長35cmで翼長が60cmほどの小型のタカである。小型であることと非常に警戒心が強いことから見つけるのが難しく、ここ利根川の耕作地でも1度しか観察ができていない。恐らく見逃す事が多いと思われる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concernであるが、環境省レッドリストでは準絶滅危惧と少し絶滅の危険度が高い評価になっている。



トビ, Tobi, Black Kite

トビはタカの仲間では比較的大型であり、小型のワシの大きさに匹敵する。主に魚を餌とするため、海、川や湖沼の近辺にいることが多い。魚を主に餌とするが水中の魚を捕獲するわけではない。魚や水辺の小動物の死骸を漁ることが多い。そのためか1019年の台風で利根川が増水した際、この遊水地(耕作地)に川の水を引き入れた後、一時的にトビの個体数が耕作地上空に増えた。2~3日して水が引けて田んぼに数多くの魚が取り残されたため多くのトビがそれを狙ったと考えられる。

全長は60cm、翼長は160cmほどになり、ノスリより大型で長時間上空を滑空している。大空を旋回しながらのトビの鳴き声は、のどかな田舎の情景に合っていると感じる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concernであるが、数多くのトビをこの利根川沿いで観察できることから個体数は多いと感じる。



ミサゴ, Misago, Osprey  

ミサゴは全長60cm、翼長が170cmでトビと同じくらいの大きさである。魚を獲物とし、水中に飛び込んで魚を捕獲する。観察地は利根川に近い耕作地であるが、この耕作地で見る事はまれで写真はたまたま上空を通り過ぎたミサゴを写したものである。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concernであり、環境省レッドリスでは準絶滅危惧に指定されている。



フクロウ, Fukuro, Ural Owl

全長は60cm、翼長は100cmの夜行性の鳥である。夜現れるためカメラに収める事ができなかったが、住宅地の中にある寺や神社の大きな樹木などを住処としている。主に小動物を餌としているが、タカなどと異なり垂直飛行もでき空間的に込み入った地形でも餌を獲る事ができるので、住宅地近くの大木も住処として利用するのであろう。フクロウは留鳥である。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern。


平野や森林の鳥

柏市郊外には深い森林はない。その代わり林が点在し、神社や公園の樹木が大きく育っている。また住宅地の庭にも花が咲き果実のなる木が多数植えられている。それらを食糧にしたり住処とする鳥が集まってくる。

小鳥が群れで住宅地で度々観察されてそれほど個体数が減っているようには感じないが、多くの小鳥がレッドリストにLCと指定されているのは、鳥獣保護法で禁止されているにもかかわらず、いまだにカスミ網などによる密猟が後を絶たないため、数の減少の危険性がなくならないからであろう。


アオジ, Aoji, Black-faced Bunting

アオジは全長15cmほどの茶色と黄緑色のマダラ模様の地味な鳥である。オスの目元は英名にあるように黒い。姿は地味であるが鳴き声は美しく、春の雰囲気を感じさせてくれる。アオジは漂鳥で冬は西日本で越冬する。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern。


オス
メス


アトリ, Atori, Brambling

アトリの全長は16cmで、腹側が白、胸部から背中にかけて朱色である。植物の種子を主に食べ、特に欅の種子が豊富な年は欅林に群れで訪れる。関東地方は欅の植栽が多く餌が豊富である。アトリは冬鳥として飛来する。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern


アカゲラ, Akagera, Great Spotted Woodpecker                    全長は24cmの中型のキツツキ、関東地方では留鳥である。コゲラを見慣れている者にとっては大型に見える。しかも背面が黒、腹面が白で尾羽近くの下面は赤の羽毛で、コントラストが鮮やかで華やかに見える。近年柏市北部郊外の従宅地にある公園にも姿を見せるようになった。公園に植えられた樹木が大木となり昆虫など餌が豊富になったことで住処としているらしい。体が大きいいことで木の幹をつつく音もかなり大きく樹間に響き渡るほどだ。IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern。


コゲラ, Kogera, Pygmy Woodpecker

全長15cmほどの小型のキツツキで留鳥。柏市北部近郊ではよく見られる鳥である。シジュウカラ、メジロやエナガの群れと行動を共にする事が多い。主に木の中の昆虫を餌としているが、カマキリの卵を食べることもある。春に自分の縄張りを知らせるドラミングを行うことが知られているが、ここでは枯れた竹の幹を利用してドラミングする事が多い。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concernであるが、ここでは目撃する回数が多いことからそれほど個体数が減っているとは感じない。

カマキリの卵を啄む

アカハラ, Akahara, Brown-headed Thrush                                                                                アカハラは一般的には夏鳥とされているが、ここ柏市郊外では冬に見かけることが多く関東地方では冬鳥であると思われる。胸部から腹部にかけての朱色が印象的である。全長は24cm、地面で落ち葉などの下の昆虫やミミズを食べる。IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern。

胸部の朱色が特徴

ウグイス, Uguisu, Bush Warbler                           全長は15cmの小型の鳥で、オスは美しい鳴き声で鳴く。体の大きさからは考えられないような透き通る大きな鳴き声で100m以上遠くに届く。郊外の住宅地では繁殖期になると鶯の鳴き声とともにホトトギスも良く鳴くようになる。ウグイスはホトトギスの托卵対象となっているためである。小型ですばしこいため姿を見ることは難しいと言われるが、ここでは住宅地の垣根や公園の植え込みの間でよく目撃される。したがって、IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concernであるが少し個体数は増えているように思える。

近距離で撮影

エナガ, Enaga, Long-tailed Tit                            全長は14cmほどだが尾羽が7.cmと長い。関東地方では留鳥であるが、冬から春にかけて群れを見ることが多い。この群れにはメジロやシジュウカラなどが混ざっている。     IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern。

可愛い姿が人気

群れで行動する事が多い

オオカワラヒワ, Ookawarahiwa, Grey-capped Greenfinch               オオカワラヒワは15cmほどの全長で関東地方では冬鳥である。カワラヒワに比べ特徴や生態に関する情報は乏しい。オオカワラヒワは渡鳥で関東地方では冬鳥である。

灰色の頭部が特徴でカワラヒワより大きい

カワラヒワ, Kawarahiwa, Oriental Greenfinch                                                                        全長は14cmで日本国内の低地から森林まで広く生息する。関東地方では留鳥。主に植物の種子を食べる。柏市郊外の住宅地の植栽にもよく飛来する。翼の黄色が目立つ。他の小型の鳥と同じように、IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern。


農道の落穂を啄む


オナガ, Onaga, Azure-winged Magpie

全長が35cmで、このうち尾羽の長さが20cmほどある。関東地方では留鳥で、この鳥は「柏市の鳥」に制定されている。郊外の住宅地にも群れでよく訪れる。羽毛の色は頭部が黒、体は青みがかった灰色で美しく、飛行する姿も美しい。それに比べ鳴き声は少々やかましい。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern。

カケス, Kakesu, Eurasian Jay

全長は33cm、鮮やかな青と黒の模様、体の褐色と腹部の白が美しい。カケスは留鳥で山間部の森林でよく見られるがここ柏市郊外でも目撃されるということは、食料がある程度とれるという事なのだろうか。食性は雑食で昆虫や木の実(どんぐりなど)が主な食べ物である。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern


カシラダカ, Kashiradaka, Rustic Bunting

カシラダカは全長15cmの冬鳥でホオジロに似ている。翼から背にかけて薄茶色で腹部は白く胸部にはマダラ模様がある。農耕地や野原のあし原に生息する。

ホオジロと行動を共にすることが多いので見た目は個体数が多いように感じるが、絶滅が危惧されている鳥である。

IUCNレッドリストによる保全状況はVU; Vulnerable


  

キジ, Kiji, Green Pheasant

キジは全長が80cm、翼長は75cnほどの大きさの鳥である。キジは日本の国鳥に指定されているが同時にまた狩猟鳥でもある。つまり狩で捉えられ食べられてしまうのである。どうしてこんな制定ができるのか一般人には理解に苦しむところであり、さらに狩猟鳥の指定は鳥獣の保護に関する法律のもとで定められているので、さらに我々の理解の範囲を遥かに超えてしまうのである。柏市郊外では利根川河川敷の堤防付近に多く生息しており、ここは住宅地に近いので狩猟の犠牲にならないで済んでいる。

オスは赤い肉垂れと青緑色の金属光沢の羽毛に覆われ光輝き派手であるが、遠くから見ると全体が黒っぽく、周りの景色に沈んで見えるのだ。メスは全身茶色で保護色になっている。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern


オス

メス

キジバト, Kijibato, Oriental Turtle Dove

全長30cm、翼長55cmほどのの大きさで灰色と、茶褐色の翼を持っている。主に植物の種子を食べる。樹の枝に小枝を利用して簡単な巣を作る。この住宅地でも庭木によく巣を作ることが観察できる。ヒナをピジョンミルクで育てることが大きな特徴である。天敵は猛禽類の他にカラス。カラスはヒナや卵を襲って食べるほどである。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern



コジュケイ, Kojukei, Chinese Bamboo Partridge

全長は27cm。冬に積雪のない温暖な地域の山林や農耕地に生息している。ここ柏市郊外では住宅地と農耕地の境の林などで群れを見つける事ができる。コジュケイは中国から移入された外来種である。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern



シメ, Shime, Hawfinch

全長18cmでやや太めの姿をしている。また鋭い目つきと太い嘴が特徴で他の小鳥との判別がつきやすい。この柏市郊外の住宅地には、池の周りに数十本のメタセコイヤが植えられていてそれが秋になると木の実をつける。それをシメが殻を割り中を啄む姿を観察できる。シメは漂鳥で関東地方では冬に多く見られる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern



シロハラ, Shirohara, Pale Thrush

全長25cm。主に昆虫や果実を食べる。ここ柏市郊外では住宅地にもよく現れ、地面に降りてミミズなどを漁る姿を観察できる。シロハラは渡鳥で関東地方では冬鳥である。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern



ジョウビタキ, Jobitaki, Daurian Redstart

全長15cm。オスは頭部が銀色で腹部が朱色のメスより目立つ色をしている。関東地方では冬鳥で農耕地や住宅地に生息する。ここ柏市郊外でも住宅地に頻繁に現れ、縄張りを主張している姿を観察できる。主に昆虫と木の実を食べる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern


オス
メス

シジュウカラ, Shijukara, Japanese Tit

全長は14cmで留鳥である。林、平地などに生息する。住宅地にもよく現れ人工物を利用して営巣する。非繁殖期には群れをつくって行動する事が多い。群れにはメジロ、エナガやコゲラが参加する。最近ではスズメよりも頻繁に見かけるようになってきた。



スズメ, Suzume, Tree Sparrow

全長は14cm。留鳥である。食性は雑食であるがイネ科の植物の種子をよく食べる。そこで農家にとっては害鳥となるわけだが、繁殖期には虫を多く捕食する。住宅地の軒先などに巣を作ったり穀物の収穫時に人間の生活圏に深く入り込んでいるので、一般によく知られた鳥となっている。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern




タゲリ, Tageri, Northern Lapwing

全長が30cmほどの中型の渡鳥。関東地方では冬鳥として飛来する。背中は金属光沢の暗緑色で腹面は白色であり、飛ぶ姿を見ると色のコントラストが美しい。田んぼの中に降り立つと背面の暗緑色が保護色となり見つけ出すのが難しい。昆虫やミミズなどを食べる。利根川河畔の耕作地は格好の食事場所である。冬の前に麦畑の土を耕すことで餌が豊富に出てくるからだ。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern



ツグミ, Tsugumi, Dusky Thrush

全長25cm。関東地方では冬鳥で水田、草地などに生息する。住宅地の公園にもよく現れる。昆虫や木の実などを食べる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern。他の小鳥と同様に減少の危険性が指摘される原因は、狩猟など人間によるところが大きい。



ツツドリ, Tsutsudori, Oriental Cuckoo

全長30cmほどで夏鳥。柏市郊外に現れたのは南方への渡りの途中だったのだろう。毛虫を好んで食べるようで桜の木によく集まるようだが、ここではメタセコイヤの葉につく毛虫を食べていた。センダイムシクイなどに托卵する。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern



ツバメ, Tsubame, Barn Swallow

全長17cm、関東地方では夏鳥として飛来する。3月の下旬に暖かさと共に飛行する姿を見ると春の息吹を感じるのである。人家の軒先などに巣を作る。数十年前の日本ではまだ古い作りの農家が残っていて、この農家の家屋には外部とのつながりがある開放的な土間があってツバメはここを利用して巣を作っていた。今の住宅は閉鎖していて外部とのつながりが少ない構造になっている。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern



ヒバリ, Hibari, Skylark

全長17cmで留鳥。大空を囀りながら飛翔する姿が春によく見られる。河原や農耕地に生息する。ここでは田んぼの畦などに巣を作るが、農家の草刈りをどうやって避けるのかいつも心配するのである。植物の種子や昆虫などを食べる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern



ヒヨドリ, Hiyodori, Brown-eared Bulbul

全長14cmで関東地方では留鳥。昆虫や花の蜜、果実などを食べる。集団でホウレンソウの葉を食べるところを目撃した事がある。なんでも食べる印象がある。住宅地にも多く住んでいて、庭木に巣を作ったりする。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern



ホオジロ, Hoojiro, Meadow Bunting

全長17cmほどで関東地方では留鳥。顔の部分の白い模様が目立つ。平地や河原などに生息する。昆虫や植物の種子を食べる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern



ベニマシコ, Benimashiko, Long-tailed Rose Finch

全長15cmで漂鳥。草原や湿原に生息する。柏市郊外には北への渡りの途中に寄ったと見られる。オスの色は珍しい薄紅色でメスは少し地味である。昆虫や植物の種子を食べる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern


オス
メス

ルリビタキ, Ruribitaki, Red-flanked Bluetail

全長14cm、漂鳥で関東地方では夏鳥。オスの頭部から背面にかけての青色が美しい。昆虫や果実などを食べる。ここ柏市郊外には北への渡りの途中で寄ったと思われる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern


オス
メス

ムクドリ, Mukudori, White-checked Starling

全長24cm、留鳥である。昆虫、ミミズや果実などを食べる。最近都市部の街路樹に集まりねぐらとすることが多く、住民の苦情が絶えない。数十年前までは害虫を食べる益鳥として知られていたが、人間の生活様式が変わると評価も一変するのである。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concernだが、夕方のムクドリの大群を見ると減少の危機はないのではと思ってしまう。



メジロ, Mejiro, Japanese White-eye

全長12cmの小さな鳥である。留鳥で平地や山地の林に住んでいる。住宅地にも現れ、サザンカ、ウメ、ツバキや桜などの蜜を食べる姿をよく目撃する。身近な存在で庭の植栽にも営巣する。日本では捕獲・飼育が禁止されているが、いまだに愛玩用として密猟する者がいる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern



モズ, Mozu, Bull-headed Shrike 

全長20cm、留鳥であるが関東地方では冬に多く見られる。食性は昆虫のほか小動物などを食べる。モズは他の鳥の鳴き声をまねると言われているが、ここではその鳴き声を聞いたことはない。住宅地にもよく現れる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern


メス
オス


水辺の鳥

柏市郊外の水が豊かな場所は、河川、湖沼では利根川と手賀沼があり、その他に住宅地に作られた調整池がある。調整池でも樹木が古く多種類の植物が育っている所は生態系も多様である。ここで紹介する水辺の鳥のほとんどは、広大な耕作地にも住宅地にも近い調整池で生活する鳥である。

カモ類の大半は渡鳥であるが、この調整池に訪れるのは安全であることの他、食料もある程度豊富だからであろう。安全とは言っても天敵はいる。猛禽類とイタチである。目撃した回数からするとイタチの襲撃の方が多いようである。


マガモ, Magamo, Mallard

体長60cmの渡鳥で関東地方では冬鳥である。オスの頭部は緑色に輝き目立つがメスは全身茶褐色で地味である。オスの頭部は光線の角度によって紺色に見える事がある。水草の他植物の種子などを食べる。柏市郊外の調整池では最も数の多いカモで、秋に早く訪れ春早々に去っていくカモである。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern


左:メス 右:オス

コガモ, Kogamo, Common Teal

全長38cm。鴨の中では小型の種である。オスの頭部は茶色で目から後頭部にかけて青色の筋の模様になっている。関東地方では冬鳥。この調整池では春の一番遅い時期に北へ向かって飛び去っていく。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern


左:メス 右:オス


オナガガモ, Onagagamo, Northern Pintail

全長70cmほどの大きさで関東地方では冬鳥。この調整池では、10月頃から姿を見せ始め、徐々にその数が増えていく感じだ。ここでは3番目に数が多いカモである。警戒心は強くなく人があげる餌にも気軽に寄ってくる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern


左:メス 右:オス


ハシビロガモ, 嘴広鴨, Hashibirogamo, Common Shoveler

全長50cm。冬鳥である。嘴の横幅の広さが特徴である。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern




オカヨシガモ, Okayoshigamo, Gadwall

全長50cm。関東地方では冬鳥で、オスもメスも地味な色をしている。主に植物や昆虫を食べる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern




ヒドリガモ, Hidorigamo, Eurasian Wingeon

全長50cm。頭部の緋色が特徴。この調整池では珍らしいカモで、季節を通じて観察できることはない。主に植物を食べる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern




カルガモ, Karugamo, Grey Duck

全長50cm。関東地方では留鳥で数が多く、通年見られることから身近な鳥である。春にヒナを連れて池や川に引っ越す事がよく話題になる。主に植物と昆虫を食べる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern


成長した若鳥


オオバン, Ooban, Common Coot

全長39cmで留鳥。全身黒い羽毛で覆われている。目の虹彩の色が赤で脚が大きいことが特徴。主に水生植物を食べる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern



カイツブリ, Kaitsuburi, Little Grebe

全長26cmほど。関東地方では留鳥。魚や昆虫などを食べる。水面を蹴って助走し飛行に移るが、高くは飛ばない。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern


冬羽
夏羽


カワウ, Kawau, Great Cormorant

全長80cmほどの留鳥。主に魚類を食べる。潜水がうまく大きさ30cm級の魚を数多く捕食する。全体に茶色っぽい黒の羽毛で覆われ繁殖期には頭部が白くなる。IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concernであるが都市部を中心に数の増大が問題になっている。そこで環境省が狩猟鳥に指定し駆除が期待されたが、肉が美味しくないらしく効果は上がっていないようだ。

繁殖期の白い頭部


シラサギ, Shirasagi, Egret

シラサギはダイサギ、チュウサギ、コサギなどの総称。柏市郊外では前記の3種類を見る事ができる。

ダイサギは全長90cmほどで渡鳥。関東地方では夏鳥として飛来する。魚、昆虫などを捕食する。他のシラサギに比べて単独で行動する事が多いようだ。

チュウサギは65cmほどの全長で夏鳥。遠くから見るとダイサギとの区別がつきにくい。魚類や両生類を食べる。

コサギは最も小さいシラサギなので判別しやすい。全長60cmで関東地方では留鳥である。主に魚類や両生類を食べる。

シラサギのそれぞれの餌は共通しているが、体の大きさによって餌の大きさも異なる。柏市郊外の耕作地には用水路が流れていて、四季を通じて魚が豊富で、春には様々な魚が産卵のため遡上する。特にこの時期、魚を集中して獲ることができるのだ。耕作地の近くでは利根川や住宅地の調整池も良い餌場だ。

全てのシラサギのIUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern


ダイサギ
チュウサギ
コサギ


アオサギ, Aosagi, Grey Heron

全長は92cmで日本のサギの中では最大。関東地方では留鳥。非繁殖期は単独で行動する事が多い。主に魚や両背類を食べる。40~50cm級のゲンゴロウブナを一飲みするほどの大食漢である。日本では繁殖域を広げその数を増しているが、IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern



ゴイサギ, Goisagi, Night Heron

全長60cm。関東地方では留鳥。夜行性であるが昼でもよく姿を見る事ができる。柏市郊外の住宅地の調整池では繁殖もしている。それほど大群ではないので今のところ住民への害はないようだ。主に魚や両生類を食べる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern



カワセミ, Kawasemi, King Fisher

全長17cmほどで留鳥。最近では都市の池などでも見られるようになった。背部は青と水色に輝き、腹部は橙色で美しい鳥のため人気がある。主に魚を食べる。柏市郊外では6月になると用水路の土手の巣から飛び立ったヒナたちの姿を観察する事ができる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern



コチドリ, Kochidori, Little Ringed Plovers

全長が16cm。関東地方では夏鳥。チドリの仲間は海岸にいる印象が強いが、ここでは用水路で餌を啄む姿をよく見かける。主に昆虫とミミズなどを食べる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern


 

クサシギ, Kusashigi, Green Sandpiper

全長22cm。関東地方では冬鳥。主に昆虫や甲殻類を食べる。ここ柏市郊外では耕作地の用水路でよく見る事ができる。海岸に出ることはほとんどないようだ。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern



セキレイ, Sekirei, Wagtail

セキレイの仲間は、セグロセキレイ、ハクセキレイとキセキレイである。いずれも全長20cmほど。主に水辺に住んでいる。


セグロセキレイ, Seguro-sekirei, Japanese Wagtail

全長20cm。日本の固有種といわれ、関東地方では留鳥または漂鳥である。柏市郊外では調整池の周りでよく見かけるが、ハクセキレイに比べるとその数は少ない。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern




ハクセキレイ, Haku-sekirei, White Wagtail

全長21cmで関東地方では留鳥または漂鳥。主に昆虫やミミズなどを食べる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern




キセキレイ, Kisekirei, Gray Wagtail

全長20cmで留鳥または漂鳥。渓流に多く住んでいるため柏市郊外の調整池では珍しく、ここ2~3年のうちに移動してきたものと思われる。腹部の黄色が特徴で他のセキレイと比べると幾分細身のようにも感じる。主に昆虫やクモなどを食べる。

都市部では珍らしい鳥だが、IUCNレッドリストによる保全状況ではどの危険状態にも指定されていない。



コハクチョウ, Kohakucho, Tundra Swan

全長120cmほどで関東地方では冬鳥。主に植物の種子、水草などを食べる。ここ柏市郊外の耕作地の周辺には住み着いていなくて、写真の群れはおそらく東側の手賀沼と、西側の菅生沼間を渡っているところだと思われる。

IUCNレッドリストによる保全状況はLC; Least Concern




            All Rights Reserved, Y. Krish Hiwatari

注釈

IUCN: International Union for Conservation of Nature

IUCN (国際自然保護連合)は国家、政府機関、非政府機関で構成された国際的な自然保護ネットワーク。

IUCNで制定されたレッドリストは生物の保全性に関する情報を提供し、生物の分布範囲、個体群の大きさ、生息環境や脅威等についての生物多様性を表す指標となっている。制定されたレッドリストの領域は以下の通り。

Red List of Threatened Species

 絶滅 EX: Extinct; No known individuals remaining   

 野生絶滅 EW: Extinct in the wild; Known only to survive in captivity, or as a naturalized  

                      population outside  its historic  range 

 絶滅危惧ⅠA CR: Critically endangered; Extremely high risk of extinction in the wild

 絶滅危惧ⅠB EN: Endangered;  High risk of extinction in the wild 

 絶滅危惧 VU: Vulnerable; High risk of endangerment in the wild 

 順絶滅危惧 NT: Near threatened; Likely to become endangered in the near future

 低懸念 LC: Least concern; Lowest risk 




References; 

[1] Wikipedia

[2] 野鳥図鑑, BIRD FAN:  http://www.birdfan.net

[3] BIRDS OF THE WORLD; SIMON & SCHUSTER https://www.iucnredlist.org/ja